読書百遍

会計・税務プロフェッションを目指している人の日々是好日

【連載】修士論文審査に落ちましたが、なにか? Vol.7

大分ご無沙汰しております。来月、中旬に論文の最終提出日があるんですが、提出締め切り日の翌日に税理士試験でかつ3科目も申し込んでしまったものだから、一番やってはいけないことをやらかしている感が否めない今日この頃です。てか、いつまでやらかすのだろうと思うくらい、こんな自分を変えたいと生まれてからずっと思い続けてます。


コロナであまり新しい門出を満喫できていない学生の方々も多いのではと思います。たまに答練や図書館に用があって学校に行くんですが、入校規制も敷かれており、ほとんど人がいない状態です。家にいることも多い中、情報の過多になってはいませんか。あまり俗物的なことを発言しないようにしているんですが、最近はNiziU流れでTwiceが自分の中の流行です。Nizi Projectはオンタイムで観ていなかったのですが、よくYoutubeに上がるので、何気なく見ていたんですが、少女たちの夢にむかうひた向きさに心を打たれました。久しく忘れていた「ひた向きさ」。大切です。推しとかもいない派なんですが、Mayukaちゃんが素敵です。もう言わずにはいられない。Mayukaちゃんが(人として)可愛いです。すいません、大切なことなので、二度言いました。目立たず常に評価の低かった彼女が毎日黙々と自己研鑽を行い、腐らず一生懸命自分を高めている姿と最後に評価された姿におじさんもう涙目・・・自分の子供じゃないけど、こういう子供を育てられる親にいつかなりたいなんて思わせてくれる素敵な子です。Twiceは「Feel Special」という曲をNiziつながりで知ることになったのですが、その曲の誕生にまつわる話を聞いて曲に感情移入


「世の中がどんなに私を落ち込ませても、つらくてつらい言葉が私を刺そうとも君がいるから私はまた笑う」


涙腺崩壊・・・(´;ω;`)ブワッ


この曲はアッパーなんですが、個人的には作曲したJYP氏のコンサートバージョンが大好きです。この曲は勇気づける曲だから、アップテンポもダウンテンポも合う万能な名曲です。



論文ストレスで現実逃避したいとき、たまに聞いて自分のボロボロの心を癒しています。


肝心の論文のお話なんですが、最近以前の会社の同僚が後輩として入学してきたので、履修相談とかよく受けるんですが、話しててよく感じることがあまりピンときていないんだろうなぁということです。大体、学問なんて初めはそんな感じですが、そこからどれだけ深く関われたがその後を左右しますので、楽をすることを覚えすぎないようにして頂きたいものです。修士の2年はあっという間なので、在学中に得られるものより、今後の課題に気づくことの方が多いくらいですから。


後、論文が書けないという方へ


「御託はいいからとりあえず書け」


論文は書いては直しての連続です。落とされた年の苦労が嘘だったかのように1日で10万文字軽く打てる日も多いです。その分全体像が見えてくるので、修正する点も増えるんですが、それが論文です。テーマが抽象的だった時に集めていた参考文献がほとんど無駄になり、新たに必要になることもよくあります。結局、早く書けば、早く間違いに気づくから、早く対応できる、だから早く論文が終わる。遅い人はすべてが遅く穴だらけな人が多いです。自分も含めて。とにかく集中できる時間を確保して一気に知った知識を落とし込むことです。クォリティは一旦書き終えてから考えればいいと思います。



書きながら、また気づいた点について残しておきますね。とにかく本はたくさん読みましょう。

【連載】修士論文審査に落ちましたが、なにか? Vol.6

第6回 〔シリーズ〕とりあえずやってみた。-その1「多読」


〔前提知識〕
≪文献3点セット≫
①金子租税法(出来るだけ最新版)
②コメンタール消費税法(改正税法のすべて○○年版)
③消費税法基本通達逐条解説(平成元年版・平成16年版・平成19年版・平成26年版)
≪論文執筆のための速読法≫
(定義は、細川健(2020年)の定義を引用)
①多読法:全体を把握するために、構成、重要な要素を確認しながら読む(1頁/1秒)
②通読法:執筆する論文に関連する重要な要素を抜き出しながら読む(1頁/3~10秒)
③精読法:②を行いながら段落ごとのまとめを行いながら読む(1頁/30秒)


 留年した反省点として、仕事を辞めたので時間が十分あると考えた点が大きい。失敗談として断言しよう。時間はあってもなくても、書ける人は書ける。つまりは私の考え方がポンコツだったということである。


 基本、参考文献をテーマに絞って、5本ほど用意して読む。理解しようと読むが、「読むこと」は「書くこと」という目的のための手段であって、決して目的にしてはならない。しかし、読むごとに法律論文の独特な難解さにいつの間にか「手段の目的化」が始まっている。共感されたそこのあなた、危険です。


 ここで少し考え方を改めてみた。「論文を書き上げる」ためには、たくさんの文献を読むことが必須条件だが、まずは書かないことにはイメージはあまりわかない。むしろ、なんでもよいので書くべきだ。訳が分からないまま、分からないから書かないと私のようになること間違いなし。


 よって、書くために読むということを念頭において、1本につき6回読む手順を変えてみた。
①1回目:マッピング(目次からマインドマップを作成して全体像をイメージしやすくする)
②2回目:概略読み(太字や小見出しに意識しつつ、ページ全体を見る感じで流し読みをする)
とりあえず、ここまでやったら、他の文献に移って10~20本を目標に回す。
20分/本x10本=3.3時間
20分/本x20本=6.6時間
※熟読しようとすると1本で2時間から3時間位費やすので、1本から執筆案が3行書けると考えれば、20本読んだ場合、最低でも60行書けることになる。これに接続詞やら、自分の意見を足せばさらに増えるはずだ。実際に書き始めるのは、20本を1周した後の3回目~4回目の多読からにすることにする。
③①~②を最低5本~最大20本回す。
④3回目:通読(テーマに必要な要素を抜き出すために読む)
⑤4回目:通読(テーマに必要な要素を抜き出すために読む)
⑥④~⑤を最低5本~最大20本回す。
⑦論文の執筆をする。(文献から抜き取った要素から書けることから書く。それぞれの関連性はとりあえず無視する。)
⑧5回目:精読(書いた内容との齟齬がないかの確認)
⑨6回目:精読(書いた内容との齟齬がないかの確認)
※時間配分を気にしないと時間だけが無駄に過ぎることになるので、まずは決めた時間内に読み切る時間配分を心がける。


自分の大学院の書式は40文字x40行(1,600文字/頁)なので、1頁半ができることになる。分量は50,000文字以上(約32頁)のため、毎日繰り返せば、45頁分が出来上がる。


先日4月から入学してくる前の職場の後輩が、他の大学院ではあるゼミで5人中4人留年したという話をしていた。うちの大学院でも半分近く留年するゼミが出たようなので、論文を書き上げることができない人は多いようである。


≪本日のポイント≫
「とりあえず書く。」
最初から精度の高いもの書けていれば、こんなことにはなっていないと割り切りたい。

【連載】修士論文審査に落ちましたが、なにか? Vol.5

第5回 書評 細川健「租税法修士論文の書き方」白桃書房2020年全143頁

 ネットで文献検索中に偶然見つけた文献ですが、すぐ最寄りの書店で内容確認し購入して通読しました。


 学術書で時々思うのが、出版社のページ見ても目次が載っていなかったりすることが多いです。学術的な研究目的で購入する人は内容と構成は必ず確認するので、目次もネットで確認できるようにしてほしいです。たまにアマゾンで確認できるものもありますが、新書は載っていないことが多いんです。


 今ではすっかり奥付(巻末の著者や版などが記載されている場所)からはしがき、目次、あとがき、本文の順で読む癖がつきました。


 本書は、実際に会計専門職大大学院で社会人院生を数多く論文指導をされた教授が書かれた税法論文の執筆方法についての書籍です。実際の指導教授によるハウツー本は、今までなかったため、税理士2科目免除を目指す方で大学院進学を考えている方は全員一家に1冊置いてもよい良書だと思います。本文は全143頁と1時間で通読ができる分量で軽いく、内容は7章立てで以下の構成となっています。


目次
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1.テーマ 選択方法と引用文献等の探し方と読み方・・・・・・・1
2.序論 フォーマットとその具体的な書き方・・・・・・・・・・13
3.判決文等 最も確実なまとめ方・・・・・・・・・・・・・・・35
4.先行研究 最も確実なまとめ方・・・・・・・・・・・・・・・41
5.結論・要旨の書き方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
6.修士論文作成上の基本ルール・・・・・・・・・・・・・・・・55
7.修士論文の執筆上の注意点・・・・・・・・・・・・・・・・・73
引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・96
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
附録(著者による修士論文の執筆例)・・・・・・・・・・・・・99


実際に学会雑誌「税法学」に記載された著者の論文を掲載したり、論文の内容を例として使いながら、指導内容に触れている点は、何をしたらいいか分からない人にイメージを持たせ、内容を理解する助けになると思います。著者も実際に言及していますが、納得できるところだけ使ってもよいという点で、書かれていることすべてを盲目的に受け入れる必要はありません。しかし、数多くの卒業者や挫折者を直に見てきた教授が失敗しないために気を付けるべき点や初学者が陥りやすい失敗例などについて書いており、実際に会計専門職大学院で経験した者としては思い当たる点がありすぎて身につまされる思いでした。


 ある程度勘がよい学生には、物足りない内容かもしれませんが、思考が停止しやすい方は迷わず買っておくとよいです。一度挫折した後に、先生を頼ることをやめて自分で考えてやっていたことがほとんど書かれていたので、時間や効率、質を考えて動けば行き着く先は同じなのだという意味で、自分がやっていることに間違いがないという確証を得る上で役に立ちました。


 私が指導してほしかった指導教授は、論文執筆方法についての門外不出の秘伝書をお持ちという噂もありますが、専門職大学院は大学院とは異なるので指導教授を選べないため、入学前のリサーチも無駄になってしまいました。学びたい教授がいるかは進学先を決める上で重要ですが、専門職大学院は大学院と異なり指導教授は必ずしも選べないという点にご注意ください。
 
だからこそ、これから入学される方は、一人でも頑張れる指標としてこの本を持っておくとよいと思いました。最低でも正しい道を一つ示して貰えば、最悪その道を辿れば何とかゴールにたどり着けるという安心感は与えられます。お守りがわりです。